春を巻く、春の種を蒔く
1.みんな大好き春巻き
ご本家の中国はもちろん、台湾、韓国、さらにはベトナム、タイ、インドネシアのあたりまで、そして日本でも広く多くの人に食べられている春巻き。アジアを制したスナックとも呼ばれるほど、みんなが大好きな春巻きは、我が家でも人気メニューです。
今では現地に出向かずとも、本場の味が食べられるお店もたくさんあります。
当然ながら、そのお店ごとにその店ならではの味、作り方、材料などこだわりがあるはずです。
アジアの国々でも伝統的な本流にに沿って、それぞれのお店が、家庭が、そこだけのオンリーワンの春巻きを作っているのではないでしょうか。
我が家の春巻きは家族に野菜巻き揚げと言われるほど、豚肉はちょっぴり、野菜たっぷりの春巻きです。
まずはそのレシピをご紹介しましょう。
2.我が家の春巻きレシピ
2-1.材料(春巻き10本分)
具の材料
- 豚もも薄切り肉 120g (豚肉の下味として、酒小さじ2、塩コショウ少々、片栗粉大さじ1)
- 卵 1個
- 片栗粉 大さじ1
- キャベツ 200g
- ゆでタケノコ 100g
- 干し椎茸 10g(2枚くらい)
- ニラ 100g
- 春雨 20g
具の味付け(全て一つのボウルに入れ、片栗粉をよく溶かしておく)
- 鶏がらスープ150cc(干し椎茸の戻し汁にスープの素を溶かす)
- 醤油 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- 酒 大さじ1
- ごま油 小さじ1
- 片栗粉 大さじ1
2-2.作り方
- 干し椎茸、春雨を戻す
- 豚肉を細切りにして、ボウルに入れ、下味と卵を加え、手でよく混ぜる。
- 汁気が豚肉に染みて少なくなってきたら、片栗粉を加え、さらによく混ぜる。
- キャベツは5mm幅(ニラの幅と同じくらい)に、ザク切り、ニラは4cmくらいの長さに切る。
- 1で戻した干し椎茸はじくは外して細切り。春雨は10cmくらいに切る。
- ゆでタケノコは5mm幅(ニラの幅と同じくらい)に切ってから、鍋に入れてタケノコがかぶるくらいの水を注いで、火にかける。ひと煮立ちしたら、ザルにあげて流水ですすぎ、水に浸けておく。(ゆでタケノコ特有の酸の臭いをとる)
- 多めの油で、豚肉→タケノコ→椎茸の順に加えながら炒めて、一旦取り出す。
- 同じ鍋に炒め油を足して、キャベツ→7で炒めたもの→春雨→ニラの順に加えながら炒める。
- 具の味付け材料を加え、とろみが出てくるまで混ぜながら火にかける。
- 9をバットなど、平らな入れ物に取り出して冷ます。
- 皮で巻く(巻き終わりは小麦粉大さじ1と水大さじ1を混ぜて作った糊で止める)
- 揚げる
2-3.作る時のコツ
- 干し椎茸の戻し汁は捨てないで!これに鶏ガラスープの素を溶かすことで、市販の素を使っても旨味が増します。
- 具のバリエーションは変幻自在です。冷蔵庫の中の余り物を上手に利用しましょう。キャベツを白菜に、ニラをピーマンに変えるのはOK。ただし、水分の多い野菜はNGです。(ブロッコリー、トマト、きゅうり、スプラウト類など)水分を飛ばすために、炒めて、冷ましてから皮に包みます。これがサクッと揚がるコツ。
- 包む際には、丁寧にきっちり、10個とも大きさを揃えて巻いてください。巻き方がゆるかったり、きつすぎるのは揚げる時のパンクの原因です。大きさを揃えるのは揚がるまでの時間を揃えるためです。
- 揚げ油の温度は、最初は低めの130度で始めて、仕上がりは180度まで上げていきます。
- 揚げ油は、たっぷりとが理想的。ゆったりと春巻きが泳ぐくらいに。(一般的な家庭の天ぷら用鍋なら、3〜5個ずつくらい。一度に10個全部を揚げるのは難しいです)
- 皮に包んだ具には全て火が通っているので、皮がこんがりときつね色になったら出来上がりです。
春巻きは一口では言い表せないほど、いろいろなものがありました。
こんなサイトも参考にしてみてください
3.春巻きのルーツ
3-1.春巻きの謂れ
春巻きは、古くは中国は周の時代に、お正月に五臓に気を通すために、5種の野菜を食べたお料理に始まるといわれています。
その頃から、皮に包んで食べていたのかどうかはわかりませんが、時代が下がり、唐の時代になると、立春(2月の初旬、中国ではお正月に当たりますね)に、旬の野菜をお餅を薄くのばして焼いた皮に包んで食べるようになったようです。
まさに春の野菜を巻いて作ったお料理ですね。
包んでそのまま食べたり、小麦粉を使った皮が登場して、それを油で揚げるようになったり、バリエーションが増えていきます。
今でも本場では、小麦粉を練って皮を作るところからお料理は始まるようです。
職人が一枚一枚手で焼いていく様子は見事です。
3-2.アジアを制したスナック
東アジアの国々の春巻きをざっと眺めてみましょう。
中国南部では点心の代名詞ですね。香港では、揚げ・蒸し・生・・・と、さまざまな種類の春巻きがあります。
北部では北京ダックの野菜版とでもいうべき春巻きが見られます。
寒い地方は米より、小麦が主流になるので、前述の小麦粉を練った生地から作る皮が使われることが多いようです。
右手に練った小麦粉生地を持ち、丸い大きな深みのある中華鍋にくるっと押し付け、さっとはがし、今度は左手に持った油を染み込ませた布で鍋肌を拭き、また生地をくるっ!として、次々に皮を作っていく。そういう皮作りは粉食文化の本場中国北部ならではの技だそうです。
台湾では潤餅(ルンピン)というお餅を薄く伸ばして焼いた皮に具を包んで食べるのが、いわゆる春巻きです。
韓国のキンパリも春巻きの一種です。
ベトナムでは、ゴイグンという、米粉で作った皮で野菜を巻く生春巻きが一般的ですね。
タイでは、ポピアソットといって、やはり米粉の皮の春巻きです。ナンプラーなどをつけて食べるのは、やはりタイですね。
インドネシアでは、ルンピアといって、こちらも米粉の皮を使います。チリソースや甘いピーナツソースなど、香辛料の効いたソースが添えられるのが、南の地方らしいです。
他にも挙げ出したらきりがないぐらい、たくさんの春巻きが東アジアにはあります。
参考サイト
4.手間はかかるが、かけた分だけ美味しくなる。
ここまで読んでくださった方は、春巻きは手間のかかるお料理だと思われたことでしょう。
まずは干し椎茸や春雨を戻すところから始まって、豚肉は手で細切りにするだとか、野菜の幅を揃えて切るだとか、炒めながら一旦、取り出すとか。具は冷ましてから包み、揚げるのはそれから。
工程がいくつもあって、作り方には書き切れないコツもあって、こんなに大変なの!?と、感じたかもしれません。
手間はかかるけれど、かけた分だけ、揚げたてのパリパリを、サクッと頬張った時の幸福感は最高です。
面倒なのだけれど、この過程が結構楽しかったりします。
食べる時のことを考えながら作るのは、なんだかワクワクするのです。
5.春に芽吹く種を蒔こう
美味しく作りたい!そう思ったなら、最初はお料理の本を見たり、上手な人に作り方を教わったり、また、美味しいと評判のお店に食べに行ってみるのもよいでしょう。
そして、自分で実際に作ってみてください。
私もそうやって、試行錯誤を繰り返しながら、自分の味を見つけてきました。
最初は上手くできないかもしれません。時間だけかかって、おかしなものが出来上がるかもしれません。初めてなのですから。
大事なのは失敗は成功のもとと、おおらかに考えることです。
そもそも失敗って?
最初から上手くできるのなら、料理本とにらめっこをすることも、誰かに教わったりすることも、必要ないはずです。
やってみる、手を動かしてみる。
それをしたからこそ、失敗もするし、いずれは美味しい春巻きが作れるようになるのです。
やってみなければ、いつまで経ってもできるようにはならないのです。
春巻き作りに限らず、何かができるようになりたいと思ったら、まずは手を動かしてみましょう。
下調べをしたり、準備をしたり、始めてみなければわからないこともいろいろあります。
勉強をすることも必要になるでしょう。
そのためには、これまでやったことのないようなことにも挑戦していかなくてはなりません。
時間も手間もかかります。
でも、それが意外に楽しかったりするのです。
楽しめるようになったら、未来はもうすぐです!
できるようになった時には、揚げたての春巻きを頬張った時のような満たされ感が待っています!
春巻きはタケノコやニラといった春の野菜を巻き込んで、春のエネルギーをいただくお料理。
春になって花が咲くように、春のエネルギーに満たされるように、夢や目標に向かって一つ一つ積み重ねていくことを大事にしたいと思います。
丁寧な暮らしを積み重ねたら、きっと豊かになっていく。
春に芽吹く種を、豊かな暮らしの種を、楽しみながら蒔いていこうと思うのです。
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